こうした中国内部の状況は、だんだんと昭和前期の日本に似てきている――これが私の仮説である。すなわち、習主席が当時の昭和天皇や首相であり、人民解放軍が大日本帝国陸軍だ。旧日本陸軍も周知のように、常に「天皇陛下」を前面に掲げて、軍拡路線に邁進していった。

「中華人民共和国は中華民国の国民の祖国にはなり得ない」

10月10日、台北市内で行われた「中華民国建国113年」を記念する双十節祝賀式典で演説する台湾の頼清徳総統(写真:中央通信社=共同)
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 両岸関係の話に戻ると、中華民国(台湾)の建国記念日にあたる10月10日、頼清徳総統は、総統府前広場で行った記念スピーチで、高らかに述べた。

「現在、中華民国はすでに台湾島・澎湖島・金門島・馬祖島に根を生やしており、中華人民共和国(中国)とは互いに隷属していない。民主と自由はこの土地の上に苗木を成長させていて、中華人民共和国には台湾を代表する権利がないのだ」

 このように、自らの持論である「隷属論」を、再び展開したのだった。頼総統はその5日前にも、「双十国慶節の夜」のスピーチで、いわゆる「祖国論」を展開していた。

「中華人民共和国は10月1日、75歳の誕生日を過ごしたばかりだ。数日後には、中華民国が113歳の誕生日を迎える。それで年次から言えば、中華人民共和国は絶対に、中華民国の国民の祖国にはなり得ない。逆に中華民国の方が、75歳の中華人民共和国以上に、人々の祖国であり得るのだ。(中略)もしも誰かが、中華人民共和国の誕生日を祝福するというのなら、特に祝賀メッセージに『祖国』の二字を用いてはならない」