日本人アスリートの活躍は目覚ましい。一方で、その魅力を伝えるメディア、解説者にも注目が集まる。
スポーツマネジメントをテーマとした本連載、今回はその「解説」について考える。
解説者に必要な「個性」
スポーツの解説者、評論家をマネジメントする上で大事なことは何か。
視聴者にわかりやすくその魅力を説明うすることに加え、解説者、評論家の「個性」が仕事に反映されていることだと思っている。
スポーツではプロ野球やメジャーリーグ、五輪、大きな国際大会などで、元トップアスリートがテレビで解説をしたり、翌日以降の新聞や雑誌で評論家としてコメントを求められたり、記事やコラムを書いたりするケースがある。
こうした元トップアスリートが「解説」や「評論」の仕事の中で、視聴者や読者から求められていることは、誰でも口にできる感想ではなく、彼・彼女たちの競技キャリアや実績、あるいは事前の取材活動に裏打ちされた、独自の視点だと考えている。
例えば、弊社には上原浩治さん、宮本慎也さん、岩隈久志さんという3人の野球解説者とマネジメント契約を結ぶほか、競泳は萩原智子さん、バレーボールは山本隆弘さんと、トップレベルで活躍した競技経験を持つ元アスリートの解説者を抱えている。
それぞれの解説は、いつも個性にあふれている。
例えば、上原さんは、試合中継では結果に対する“後出しジャンケン”ではなく、試合の展開を予測した解説を心掛けている。
宮本さんは忖度をせずに歯に衣着せぬ直球解説が魅力で、岩隈さんは配球の組み立てやその狙い、ピッチャー目線で見るバッターやランナーに関しても詳しく話す解説に定評がある。
萩原さんは自らの経験だけに頼らず、記者のように事前の取材でたくさんの“ネタ”を集める。山本さんは戦術面の解説を大切にし、特に失敗のリスクと隣り合わせのサーブが現代のバレーではとても大事だという視点を伝えている。