Blueskyなどにユーザー流出

 米ワシントン・ポスト紙は停止措置から間もない9月3日、Xが使えないこの状況がブラジル市民にとって「ノーX?ノー・プロブレム」という見出しの記事を掲載した*2

*2No X in Brazil? No problem, Brazilians say.(The Washington Post)

 同紙によれば、人口2億1000万人ほどのブラジルでツイッター(当時)はかつて、人口の5分の1に当たる4000万人以上ものユーザーを抱えていたという。引用されているSemiocastのグラフでは、2012年には米国に次いで2番目にアカウントの多い国とある。しかし、直近の調査ではユーザーはおよそ2200万人に減少し、特にマスク氏のツイッター買収以降は、200万人ものユーザーが離れていったという。

ブラジルのXからユーザーが大量に流入したBluesky(写真:Koshiro K/Shutterstock.com)

 ワシントン・ポストはまた「Xよりもインスタグラムを好む」という一般ユーザーの声を伝えた。ブラジルではインスタやメッセージアプリのWhatsAppが主流であり、マスク氏の買収後の2023年、スマートフォンにXのアプリをインストールしているユーザーの割合が37%から29%に減少したという調査報告も伝えている*3

*3Popularidade do X (Twitter) despenca em 2023; app agora perde para LinkedIn e Kwai no Brasil(tudocelular.com)

 ブラジルのテック関連コラムニストはワシントン・ポスト紙の取材に、導入から5〜10年ほど、ツイッターは様々な情報が交換される「公共の広場」として機能していたが、近年はそのおもしろさが失われ、反響や重要度が低くなったと語っている。

 そうした状況のなかサービス停止により、一部のXユーザーは別のプラットフォームへ流れた。当初、この恩恵を最も受けたXの競合の一つが、旧ツイッターの創業者らが立ち上げたBlueskyだとされている。

 Xのサービス停止直後の8月31日、Blueskyは、2日で新規ユーザーが50万人を超えた*4とし、さらにその数日後には260万人の新規ユーザーを得たという。そのうち85%がブラジル人だったと伝えられている。

*4ユーザーの増加を報告するBlueskyの投稿

 米テック・クランチは同日、ブラジルにおけるiPhoneの無料アプリランキングでBlueskyが1位に輝いたとしている*6。本稿執筆時点で確認できる9月10日から10月10日までのランキングを見ると、Blueskyは9月18日までほとんどトップ10内に入っている。

*5Bluesky tops app charts and sees ‘all-time-highs’ after Brazil bans X(TechCrunch)

 また同じデータによれば、テック大手・メタ傘下でXに類似するThreads(スレッズ)は、9月10日から10月5日まで、トップ3内にランクインしていた。6日には11位に後退したが、その後8位から5位、9日までに3位に戻している。

 他方、ユーザーのメンタルヘルスにも影響を及ぼしたとの指摘もある。