月5~10ドルのAlexa上位版を計画中

 アマゾンのAlexaを巡っては先ごろ、複雑な質問や指示に対応できる高性能AIソフトウエアを搭載した上位版を導入し、これに月5~10ドル(約700~1400円)超の料金を設定する計画だと報じられた。アマゾンはこの上位版を「Remarkable Alexa(非凡なアレクサ)」と名付けている。現行の無料版サービスはアマゾン社内で「Classic Alexa(標準的アレクサ)」と呼ばれており、こちらにもAI搭載する。ただし、この下位版は無料のまま提供される予定だという。

 関係者によると、有料版Alexaは、会話が継続進行するように設計されている。一連の会話の中で、以前の質問や回答を覚えており、それらに基づき新たな回答を生成する。すなわち、会話中に「アレクサ」と何度も呼ぶ必要がなくなり、よりパーソナライズされた対応が期待できる。

 加えて、利用者は旅行に持っていく服に関するアドバイスや、ニュース記事などの情報収集を依頼することができる。食事を注文したり、電子メールを作成したりといった、より複雑なリクエストを一度の指示で実行できるとされる。

AI需要に対応、データセンターに1000億ドル投資

 アマゾンも他のテクノロジー大手と同様に独自の技術開発に力を入れてきた。しかし、AI開発競争が激化するなか、外部との連携も強化している。同社は24年4月、生成AI開発の米新興企業、アンソロピック(Anthropic)に総額40億ドル(約5700億円)を出資したと発表した。英ロイター通信によれば、アマゾンはアンソロピックの生成AI技術基盤「Claude(クロード)」を採用することも決めた。

 これについて、アマゾンの広報担当者は「機械学習(マシンラーニング)モデルに関しては、自社のモデルやパートナー企業のモデルなど、様々なモデルを過去に使用し、今後も使用して、顧客にとって最高の体験を構築していく」と述べている。

 WSJによれば、アマゾンは急増するAI需要に対応するため、今後10年間で1000億ドル(約14兆3700億円)以上をデータセンターに投資する計画だ。こうしたなか、自社AI製品の開発に対する社内からの期待も高まっている。CEO(最高経営責任者)のアンディ・ジャシー氏もAGIグループに深く関与しており、4~6週間ごとにプラサド氏などの同グループ幹部らと協議している。