高市・円安路線よりも円安修正のほうが家計にはプラス

 しかし、そもそも円高になればなるほど7月利上げ時点で示したロジック(円安を背景としたインフレリスクの高まり)は弱まるのだから、高市氏で円相場が急落した状態よりも、よほど日銀にとっては「時間的余裕がある(植田総裁)」と言っていい。

 現状の日本では、「円安の修正」は「実質所得環境の改善」に直結する話であり、それはもちろん「実質個人消費の改善」につながる。所得や消費の名実格差(図表①および②)はあまりにも露骨なものになっていることから、この点は真摯に考えるべき事象である。

【図表①】

雇用者報酬(名目・実質)の推移
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【図表②】

 
個人消費(名目・実質)の推移
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 日銀へのタカ派姿勢を支持することはごく短期的にはアンチ経済成長のようなイメージが抱かれやすい一方、中長期的に見れば、円安修正が家計部門の消費・投資意欲を助ける側面は無視できない。