とはいえ、今のペースで火災保険料の値上げが続いていくと、地域によっては経済的負担が大きすぎて加入できない、補償範囲を限定せざるを得ない、というケースも出来しそうだ。

このままでは「火災保険など入る必要がない」という声も

 例えば、火災保険に付帯する地震保険の場合、前述したマンション管理組合向け火災保険での付帯率は全国で5割にも届いていない。実は筆者の自宅マンションも未付帯で、総会では「ただでさえ運営費不足なのに、地震保険など付ける余裕はない」と出席者全員一致であっさり見送られた。

 よくよく調べてみると、自宅マンションのマンション管理組合向け火災保険に20数年加入していて、火災保険から保険金が下りたのは強風で窓ガラスが破損した1例のみだった。このまま保険料が上がっていくと、いつかは費用対効果からみて「火災保険など入る必要がない」との意見が出てくるのではないかという懸念もある。

 火災保険は「実損払い」が基本で、実際に生じた損害額しか補償されない。建築資材価格の上昇により住宅の再建費用が高騰する中で、これから火災保険の更新を迎える人は自治体の「ハザードマップ(被害予想地図)」を参考に補償内容を吟味して保険料を抑える工夫が必要になりそうだ。

 まず補償の重複を避けるのは基本中の基本と言えるだろう。

 よく見受けられるのが個人賠償責任補償特約のダブりだ。自動車保険や傷害保険、共済のほか、クレジットカードなどにも付帯が可能となっており、これらで既に加入済みでないか確認したい。