この事件を考えるうえで、事件現場となった野崎氏宅の間取りを頭に入れておく必要があるだろう。

 2017年2月に約半月ほども1階のリビングで寝泊まりするなど、何度もこの自宅を訪ねていたジャーナリストの吉田隆氏に説明してもらった。

30畳以上ある寝室

「あの家は、貸金業をしていたドン・ファンが借金のカタに手に入れた日本家屋を前の奥さんが全面的に改装したものです。外観は純日本家屋ですが、内部は欧州テイストの豪華な内装になっています。2階建てで、オール電化仕様で1、2階ともに床暖房設備ですし、キッチンも電化されています。自宅のテレビはリビングと2階寝室に50型以上の液晶テレビが置かれています。

和歌山県田辺市にある野崎氏宅。借金のカタとして手に入れたものだという(撮影:吉田 隆)
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 1階の玄関脇には30畳ほどでゲスト用のキングサイズベッドが置かれた部屋があり大下さんが使用していました。そしてこの隣には2階への階段と20畳ぐらいのジャグジー付きの大きなバスルームとガラスで仕切られて大きな鏡が設置されているドレスルームがあり、その前には6畳近くの洗面所とトイレがありました。1階奥はオープンキッチンとリビングになっており、外国製の大きなテーブルも置かれていたし、テレビやソファセットもありました。

 2階はドン・ファンの寝室で、30畳以上はあると思います。キングサイズのベッドが置かれ、ソファと背もたれのない椅子があり、ドン・ファンの遺体はこのソファで全裸で横たわっていたのを発見されました。寝室の横には丸い形のお風呂と当時は使っていなかったサウナ室もあります。お風呂の横には大きな鏡が置かれており、3畳ほどですが、ここにドン・ファンが服用していたクスリや整髪剤などが置かれています。

 2階に上がる階段には手すりはなく、人がやっとすれ違うことができる狭さでかなりの急こう配です。階段部分の下には絨毯が敷かれていますので音が響かないようになっています。階段を上がりきったあとで左に折れると寝室の大きな白いドアがありますが、2階に上がる階段はリビングやキッチンから目撃ができない作りで、玄関や、階段の向かい側のトイレ、そして大下さんが使っていたゲストルームからなら上がり降りは見えると思います」