マンション価格だけを見て購入を決めると後悔する

 しかし、新築マンションの価格があまりにも高くなり過ぎているため、一般的な消費者では購入できなくなりつつあり、デベロッパーとしては、これ以上価格を上げられない段階にきている。特に、郊外型の比較的リーズナブルといわれる価格帯のマンションがそうだ。

 都心やその周辺の高額物件の購入者は、高額所得者や富裕層が中心なので、価格が上がってもある程度ついてきてくれる。極端な話、1億円のマンションが1億1000万円になっても、年収2000万円、3000万円といった高額所得者や何億円もの資産を持つ富裕層にとってはさほどの影響はない。

 まして、2億円、3億円の超高額物件だと、ローンを組まずに現金買いする人も多いので、価格上昇の影響はさほどないと見られる。逆に言えば、価格が上がれば上がるほど資産価値の上昇が期待できると考える人たちが少なくないため、高額物件は原価上昇を価格に転嫁しやすいわけだ。

 それに対して、郊外のリーズナブルな価格帯の物件の購入を考えるのは平均的な会社員が中心で、価格が上がり過ぎると購買力がついていかなくなる。

 そこでどうするかと言えば、マンションの質をこっそりと引き下げて、何とか原価の上昇を抑えるようにするわけだ。販売価格を現状並みに抑えられれば、従来からの購入希望層でも買える。

 そうした事情を知らず、「こんなにマンション価格が高くなっている時代に、このマンションは安いじゃないか」と価格だけを見て購入を決めると後悔することになりかねない。安いには安いなりの理由があるのだ。