朝ドラで「同性愛」や「朝鮮人虐殺」も
103回の寅子は山田轟法律事務所で男性同性愛カップルの千葉(ニクまろ)と秋田(水越とものり)と出会った。性転換手術を受けて女性になったバーの経営者・山田(中村中)とも知り合う。寅子は視野が広がった。同性愛のカップルをパートナーとしての公的に認める「パートナーシップ宣誓制度」は6月末時点で25都府県が認めている。連続テレビ小説で扱うのは時期尚早ではないだろう。
「朝ドラらしからぬ」との声もあったが、「朝ドラらしさ」なんて最初からないのだ。制作統括、脚本家、主演が毎回違うのだから、統一された作風などあるはずがない。周囲が勝手に言っているだけなのである。
87回では、のちに寅子の事実婚の相手になる裁判官・星航一(岡田将生)が、関東大震災(1931年)後の朝鮮人虐殺について触れた。
「朝鮮人が暴動を起こしたという流言が飛び交って、大勢の罪のない朝鮮人が殺された」(航一)
差別心が悲劇を生む恐ろしさを説いたのである。これも吉田氏は現代にも通じる提言として書いたのだろう。
朝鮮人虐殺については数多くの歴史学者たちが事実と認定し、東京都が発行した「東京100年史」(1972年)も存在したことだとしている。ただし、近年はなかったことにしようとする動きがあるから、吉田氏はやはり腹を括ったに違いない。