米軍が描く「ドローンの地獄絵図」作戦とは

 サミュエル・パパロ米インド太平洋軍現司令官は米紙ワシントン・ポスト紙(6月10日付)に中国人民解放軍の艦隊が台湾海峡を移動し始めたら、米軍は数千の無人潜水艦、無人水上艦、空中ドローンを殺到させ、台湾と米国、パートナーの軍が対応するため時間を稼ぐ作戦を示唆した。

 その名も「地獄絵図」作戦。「台湾海峡をドローンの地獄絵図にしたい。そうすれば、1カ月の間、人民解放軍を全く惨めな状況に留め置いて、防衛の準備を万端に整えることができる。中身は言えないが、本当だ。実施可能だ」とパパロ司令官は話している。

 米国は台湾と正式な防衛条約を結んでいないが、1979年台湾関係法で台湾に防衛手段を提供することを約束。武力によって台湾の地位を変更しようとする試みを地域の平和と安定に対する重大な脅威とみなす一方で、中国が攻撃してきた場合に軍事介入するか否か、明言していない。

 米国が維持してきた「戦略的曖昧さ」を巡り、ジョー・バイデン大統領は中国が侵攻してきた場合、米国は台湾を防衛するのかと質問され、再三にわたって「イエス」と断言している。軍事力を増す中国に対する抑止力の強化を意図した「戦略的明確さ」へのシフトとみられている。