「Weird」呼ばわりの口撃は「クール」

 トランプ氏のこの過敏な反応は、一体なぜなのか。お堅い英フィナンシャル・タイムズ紙(FT)までが最近この現象に「トランプ氏は明らかに動揺している」とし、「いじめられるよりいじめる側にいることに慣れてきたからだ」と分析。その上「なぜ『ヘン』呼ばわりがそれほどトランプを傷つけるのか」というナゾを大真面目に深掘りしている*5

*5Why does calling Trump ‘weird’ hurt him so much? (FINANCIAL TIMES)

 理由の一つとしてFTが掲げたのは、「ヘン」呼ばわりは多少意地悪ではあっても、これまでトランプ氏らがお家芸としてきた、例えば性的マイノリティなど、社会的弱者に対する悪意に満ちた言葉の数々とは一線を画しているということだ。

 そして、単純に「からかう」ことを楽しむ姿勢の方が、トランプ氏が「ヒットラー以来の民主主義を破壊しかねない危険人物」などという小難しい理屈よりも、候補者を決めかねている有権者層にウケやすいのだという。

「理想のお父さん」とも評される民主党のウォルズ副大統領候補(写真:AP/アフロ)

 実はこのWeirdブームには、民主党陣営の「仕掛け人」がいる。わずか1カ月あまり前、ハリス氏から急きょ副大統領候補に選ばれた、ティム・ウォルズ現ミネソタ州知事(60)だ*6

*6Governor Tim Walz(ミネソタ州ホームページ)

 今年7月、先の「まずい外交や医療、環境対策を展開してきた、中流階級の気持ちなど理解不能な金持ちのWeird(ヘン)な連中」と共和党陣営を位置付けたのは、他ならぬウォルズ氏だ。同氏の「Weird」呼ばわりは「クール」だとネットでバズった。ほどなく、ウォルズ氏は副大統領候補に指名された。