防御率トップ10選手のうち8人が負傷者リスト入り

 日刊スポーツは今年4月7日、米CBSスポーツが21年以降の防御率トップ10(先発40以上)のうち、大谷選手を含む8人が負傷者リスト入り、もしくはリハビリ中だと報じたことを紹介した。日本からメジャーへ移籍した前田健太投手もトミー・ジョン手術を経験し、今季はメッツの千賀滉大投手が右肩痛に悩まされ、ドジャース1年目の山本由伸投手も右肩腱板を損傷し、メジャーの戦列から離れている。

 もちろん、ケガは先発投手に限ったことではないが、トミー・ジョン手術は復帰までに1年~1年半かかるとされ、球団も高額年俸を無駄にするリスクを抱える。

大谷選手の右肘には手術の痕=2024年3月撮影(写真:AP/アフロ)

 リーグ側はこうした流れに歯止めをかけるべく、先発投手に6回以上という長いイニングを投げることを促す新ルールによって、スタミナを温存するために、スピードを追い求めるよりも制球重視へと投手のスタイルを変える流れを作りたいとみられる。

 球界の反応は分かれる。一例を挙げれば、スポニチは新ルール検討を1面で報じた際、米大リーグ担当の奥田秀樹通信員の「記者の目」で「打たせて取る野球の複雑さ、面白さ、醍醐味を復活させるべきだ」と新ルール実現に好意的な解説記事を掲載した。

 一方、投球回数の義務づけに真っ向から異を唱えるのは、元大リーガーでもある野球解説者の上原浩治氏だ。8月27日付でヤフーニュースにアップしたコラム「野球に正解はない!」の中で、それぞれの投手がスピードや制球など個々の能力を磨いてメジャーという狭き門へとはい上がってきたことを挙げつつ、「投球フォームもスタイルも、『個性』あふれるのがメジャーリーグである。プロ野球選手は『個人事業主』であり、ケガのリスクも自分で負っている。(中略)先発投手が長いイニングを投げられるに越したことはないが、リーグ側がルールでイニング数を義務づけるのは違うだろう」と批判的な立場だ。