大谷翔平選手の自宅に関する報道が波紋を広げている(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)
  • 大谷翔平選手が米ロサンゼルスに購入した邸宅に関する報道が波紋を広げている。
  • 5月下旬の米ロサンゼルス・タイムズ紙の報道をきっかけに、日本のメディアもこぞって報道。ウェブメディア「現代ビジネス」によると、大谷選手側が日本テレビとフジテレビを事実上の「出入り禁止状態」にしたという。
  • 「新聞離れ、テレビ離れ」が指摘される中、プライバシーに踏み込んでまでメディアが追い求める「独自記事」は読者や視聴者ニーズともかけ離れ、時代にそぐわなくなっている。(JBpress)

(田中 充:尚美学園大学スポーツマネジメント学部准教授)

 ウェブメディア「現代ビジネス」は6月12日、日本テレビとフジテレビが米大リーグ、大谷翔平選手に関する取材パスを凍結され、事実上の“出入り禁止状態”にあると報じた。大谷選手が米ロサンゼルス郊外に購入した自宅に関する報道で、プライバシーに大きく踏み込んだことが理由だという。記事が転載されたYahoo!ニュースのコメント欄では、プライバシーを侵害したと見る向きが多く、批判的な書き込みが目立つ。

 これより前の10日、スポーツライターの丹羽政善氏も「日本経済新聞電子版」の連載コラム「拝啓 ベーブ・ルース様」でこの問題を取り扱い、プライバシーに関する報道と倫理意識について警笛を鳴らしている。

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 ことの発端は5月22日、ロサンゼルス・タイムズ紙の電子版が、大谷選手がロサンゼルス郊外に自宅を買ったというニュースを報じたことだ。これを機に日本のメディアもテレビ、一般紙、スポーツ紙、ネットメディアなどがこぞって記事を引用する形で報じた。

 ロサンゼルス・タイムズの記事には、785万ドル(約12億3000万円)という邸宅の購入金額に加え、ドジャースタジアムまでの移動時間や敷地、建物面積、室内の設備などが詳細に報じられ、上空から撮影した写真も添えられていた。不動産記録と関係者への取材で確認したとしている。

 現代ビジネスの記事によれば、日テレとフジは、空撮映像や自宅前からのレポート、近所へのインタビューなども行い、自宅が特定できてしまうような映像を流した。このことが大谷選手の怒りを買ったという。日テレとフジは現代ビジネスの取材に対し、それぞれ「取材に関するご質問については一切お答えしておりません」(日本テレビ広報部)「特に回答することはございません」(フジテレビ企業広報部)と回答している。