独自色を出しやすいのは「オフ」ネタ

 会社の中でのチェックが機能していないのかという疑問もあるだろう。だが、メディアの報道姿勢においては、すでに出ている情報を伝えるときに「プラスアルファ」をどう加えるかという視点が重要視される。

 こうした中で、「自宅周辺で近隣住民の声を拾う」という情報が必要だったと考えられていた可能性も否定できない。もちろん、こうした取材手法は、映像メディアに限った話ではない。

 大谷選手が試合後などに受ける取材は、日本メディア全体を対象としていることが多く、各メディアがそれぞれの媒体における報道に「独自色」を見出すことは難しい。

 一般的に「独自色」を出せる可能性が高いのは、グラウンド外の「オフ」にまつわるエピソードだ。日々の食生活や体のケア、野球から気持ちを切り替えるときのリラックス方法などは顕著な例だ。

 一方、選手の立場でみれば、グラウンド上でのパフォーマンスについての質問の場で、オフやプライベートに関する質問は避けて欲しいという本音もある。オフやプライベートに関してどこまで話を聞き、どこまで書くかは、記者と取材対象者の信頼関係に委ねられる部分が大きい。