ノルウェー王室の制度は開放的とも言えるが…

 日本の皇室は結婚後、女性皇族を臣籍降下させ、皇族から切り離すという制度を歴史的に継承し、このような影響を防いできました。 これは先人の知恵と言えます。

 皇族や王族の結婚は一般人家庭の結婚とはまったく違います。

 問題のある人物が結婚相手になれば、皇族や王族はネガティブな影響を受け、場合によっては、その権威を地に落としてしまいかねません。

 そのため、日本の皇室では、親王などの男性皇族については、結婚に際し、皇室会議の議決を経なければならないと、皇室典範第10条に規定されています。女性皇族はその必要がなく、法的には、当事者だけの合意のみで結婚できます。

 男性皇族にだけ、規定が存在するのは、男性皇族は皇室に留まり、女性の配偶者を皇族として迎え入れるためです。女性皇族は結婚により、臣籍降下されるため、男性皇族と異なり、結婚相手の自由な選択が認められているのです。

 皇室はこれまで、一般女性を皇族に迎え入れても、一度も男性を皇族として迎え入れたことはありません。男系継承の理念により、一般男性は皇族になることはできません。一般男性を皇族に関わらせないとする考えがあり、皇室の乗っ取りを防ぐ手立てとなってきました。

 一方、ノルウェー王室では、女性王族が自由に結婚相手を選ぶことができ、その上で、王族に留まり、また配偶者も王族の一員になれるという、ある意味、開放的な制度になっています。それゆえ、ひとたび、王室に悪影響を加えるような結婚相手が現れたとしても、排除する手立てはなく、直接的に被害を受けることになります。