AIで医療や教育のブラックホールは埋められるのか

「経済的なブラックホールだけではない。社会のブラックホールだ」とスターマー首相は前保守党政権がこの14年で残した負の遺産を指弾した。「難しいトレードオフだ。長期的に国にとって正しいことであれば不人気な決断を下すことから逃げない。それが奉仕の政府だ」

 220億ポンドのブラックホールを埋めるには増税しかない。しかし増税だけでは医療や教育のブラックホールは埋められない。英国政府もロサンゼルスにならって8月28日、教師が宿題の採点をしたり授業計画を立てたりする際に負担を軽くするAI支援プロジェクトを発表した。

 政府の支援額は400万ポンド(約7億6000万円)。カリキュラムのガイダンス、授業計画、匿名化された生徒の評価がプールされ、AI企業が機械学習に使用してオーダーメイドの授業計画やワークブックなど、学校で使用できるコンテンツを生成する。

 教師が採点をしたり、教室で使用する教材を作成したり、学校の日常的な管理を支援したりするツールを構築する。新しい調査によると、保護者は教師がより多くの時間を割いて教室で対面授業を行い、子どもたちを支援できるようにするためAIの利用を望んでいるという。

 スティーブン・モーガン初等教育担当閣外相は「すべての子どもが可能な限り最高の教育を受けられるよう機会への障壁を取り除く。AIが安全で信頼できるものになればエキサイティングな機会を与えてくれる。教師の仕事量の負担を減らし、対面式の授業に集中できる」と期待する。