中国政府はどんな政策を打ってくるのか

 こうした人口からの将来見通しが正しいとするならば、金換算量から浮かび上がってきた過去20年の「米国停滞・中国漸増」というイメージは、「米国安定・中国後退」というイメージに置き換わるかもしれない。

 どちらに目を向けるかによって違いがあるが、いずれにしても、名目上のGDPから見えてくる「米国成長・中国急迫」といったイメージとは異なるわけだ。米中の株式市場は、このことを事前に織り込んでいたと考えると、妙に納得感がある。

 だが、中国政府も、このような現実を認識しているのは言うまでもない。今後は、硬軟含めた人口政策や経済政策を模索する動きが速まれば、「米国安定・中国後退」という見通しにも変化が訪れるはず。

 わが国の経済にとっても、株式市場における評価にも大きく影響するため、今後の中国の動向からは目が離せない。

※本稿は筆者個人の見解です。実際の投資に関しては、ご自身の判断と責任において行われますようお願い申し上げます。YouTubeで動画シリーズ「ハートで感じる資産形成」(外部サイト)も公開しています。

平山 賢一(ひらやま・けんいち) 東京海上アセットマネジメント チーフストラテジスト
1966年生まれ。資産運用会社を経て、1997年東京海上火災保険(現:東京海上日動火災保険)に入社。2001年東京海上アセットマネジメントに転籍、チーフファンドマネージャー、執行役員運用本部長を務め、2022年より現職。メディア出演のほか、レポート・著書などを多数執筆。主著に『戦前・戦時期の金融市場 1940年代化する国債・株式マーケット』(日本経済新聞出版)、『物価変動の未来』(東峰書房)などがある。YouTubeで『ハートで感じる資産形成』シリーズの発信もしている。

筆者の近著『物価変動の未来 人口と社会の先を見晴らす』(東峰書房)