金地金を基準にすると米国経済は2001年の3分の1に

 図1には、米ドルを基準に示した米中GDPに加えて、金を基準に示したGDPも示している。これは、両国の経済規模を金地金の量(トン)に換算して表記したものである。1年間のGDPで金を買ったら何トン購入できるかと言い換えてもよい(金地金で計測した経済規模)。

 米GDPの金換算量は、1970年代と2000年代の約10年間は、金価格が大幅に上昇しているため、われわれが通常目にする右肩上がりの経済成長とは異なる推移になっている(図1の白丸線)。

【図1:再掲】米中のGDPおよびその金換算量
拡大画像表示

 1970年の約93万トンが1980年には、約15万トンまで急減しているのである。なんと規模は、6分の1の水準まで減価した。

 また、2001年の約121万トンは、約30万トンまで4分の1になっている。10年にわたり、金対比でのGDPは大幅に減価していたのである。

 このように、GDPの歴史的な推移も、基準を変えてみると全く違ったイメージに転じてしまうと言えよう。

 米国の場合には、コロナ危機以降の経済回復にもかかわらず、現在も高値を更新している金価格の影響もあり、金換算量からみたGDPは2001年の水準の3分の1で停滞している(約44万トン)。仮に金本位制が続いていれば、米国の経済は、2001年をピークに収縮し、その後は安定成長に転じていたわけである。

 米ドルを基準にしてGDPを見るならば、米国経済は、成長を続けて2001年の水準をはるかに上回っているものの、金換算量を基準にすると、現在も2001年の水準を上回れずにいることになる。

 では一方の中国はどうか。