3億人超の多消費世代が消える中国

 先進国では、借金をして所得以上の消費をする世代が多ければ、世の中の消費活動が活発化すると考えられる。人生の中で最も大きな買い物は住宅であり、一般的に住宅ローンを組んで購入するケースが多い。

 住宅を購入する際には、多くの家具や耐久消費財を購入するため波及効果も大きく、住宅を購入する世代の人口が多ければ、消費活動が活発化する。GDPを支出面からみると消費の比率が高いため、消費の行く末は経済規模を大きく左右することになる。

 そこで、主に住宅ローンを組む35歳から54歳にかけての多消費世代人口を見ていくと、米国の場合には、グローバル金融危機前後で一時的にピークアウトし、2010年代半ばまで減少していた(図2)。

【図2】米中の多消費世代人口
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 ところが、国連人口推計の2024年改訂版で見ると、その後は拡大基調に転じ、現在の約8900万人が2100年に約9700万人まで緩やかに増加している。米国は今後も安定的な消費経済の回復が見込めそうな状況にあると言えよう。

 一方の中国は、2017年に約4.4億人でピークアウトし、現在は約4.3億人まで減退している。今後は、この減少ペースが加速し、2100年に約1.2億人まで3億人超の多消費世代人口が消えると推計されている。

 現在、中国の多消費世代人口は米国の5倍の規模を誇るため、その減少は世界経済の成長にとって下方圧力になるのは間違いない。

 2100年になると中国と米国の多消費世代人口は、ほぼ同水準となり、相対的に中国の爆食経済の立ち位置も後退するのがイメージできよう。この違いの収斂は、これまでの数年に発生した緩やかなペースではなく、今後は、けた違いのスピードで発生するため、注意が必要かもしれない。