もし金本位制継続なら「米国停滞・中国漸増」

 1970年代は米国と同じように減価し、8分の1の規模まで落としたものの、2000年代は、興味深いことに横這いで推移している。2001年の約15万トンが、2012年でも約16万トンという具合に金換算量が保たれているのである。

 グローバル金融危機の大きな影響を受けた米国とは異なり、新興国経済の高い経済成長率が、金価格の上昇に負けなかった要因だったと言えよう。

 そのため、中国の場合には、1980年をボトムに、いまだに基調的な経済成長が保たれていると見なすことも可能だ。

 中国の2001年のGDPは1.3兆ドルと、米国の経済規模の10分の1程度であったが、その後、18兆ドルまで急成長し、2023年には米国の8割程度にまで追いついている。金換算量を基準にしたGDPでは、2023年は2001年の2倍近くになっているのである。

 あくまでも仮定の話だが、金本位制が現在まで続いていたならば、21世紀の経済規模比較は、「米国停滞・中国漸増」という位置づけが鮮明になっていたであろう。長期で視点を変えてみると、異なる評価やイメージに転じてしまう。

 ところで、ここ数年間は、中国経済の成長率がピークアウトして将来も減速するとの経済報道が多い。いわゆる「ピーク・チャイナ論」であり、その真実味が増しているようにも見える。

 確かに、中国の株価指数も、他地域の株価指数と比較すると元気がない。中国の国債利回りも低下基調で推移しており、中国経済の低調は、鮮明である。

 この現実を受け入れるならば、過去20年間の構図「米国停滞・中国漸増」は過去のものであり、将来は異なるパス(経路)を描くと考えてよいのだろうか?

 そこで以下では、同じ長期見通しの材料として、しばしば活用される人口動態に着目してみよう。