“ミックスプラン”でリスクを極小化する方法

 とはいえ、金利が高くなりそうな時期であっても、やはり何とか工夫して返済負担を軽減し、かつリスクを回避する方法はないだろうかと考えたくなる。

 金利の低い変動金利型や固定金利期間選択型の固定期間の短いタイプにはリスクがつきものなので、リスクをゼロにすることはできないが、ゼロにできないまでも極小化することはできる。

【図表4】にあるように、借入額5000万円を、全額金利0.375%の変動金利型で利用すると、5年後に金利が1.0%上がると、返済額は15.5%増えてしまう。これでは、各種の物価上昇が続くなか、収入がそうそう増える時代ではないので、返済が苦しくなり、せっかくの新居でのバラ色の生活のはずが、灰色になってしまいかねない。


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 そこで活用を考えたいのが、ミックスプラン。金利タイプや返済期間の異なるローンを組み合わせることで、返済額をできるだけ抑制しながらリスクを極小化することも可能だ。

 例えば、【図表4】の②にあるように、借入額5000万円を、2000万円の変動金利型、3000万円の全期間固定金利型に分ける。毎月返済額が全額変動金利型に比べると2万円ほど増えてしまうが、その分リスクは小さくなる。5年後に金利が1%上がったとしても、増額率は5.3%にとどまり、家計への影響をより小さくできる。

 もう少し当初の返済額を増やすことができるのであれば、変動金利型の返済期間を短くする手がある。返済期間を短くすれば、借り入れ後の金利上昇による増額率を大きく抑制できるのだ。

【図表4】の③にあるように、変動金利型の返済期間を10年間にすれば、5年後の金利が1%上がったときの増額率を2.6%に抑えることができる。全期間固定金利型の返済額は変わらないので、全体の増額率は1.6%と微増にとどまる。

 もちろん、その分、毎月返済額のベースが高くなるので、ある程度の年収がないと難しいかもしれないが、ぜひとも考えておきたい方法といえるだろう。

 以上のように、住宅ローンの組み方はひとつではない。どんな金利タイプを選ぶか、どんな組み合わせにするか、返済期間をどうするか、などさまざまなパターンがある。不動産会社や金融機関の話をうのみにするだけではなく、自分自身で本当に自分たちに合ったローンの組み方を考えてみてはどうだろうか。

【山下和之(やました・かずゆき)】
住宅ジャーナリスト。住宅・不動産分野で新聞・雑誌・単行本などの取材、原稿制作、各種講演、メディア出演などを行う。『住宅ローン相談ハンドブック』(近代セールス社)、『はじめてのマンション購入絶対成功させる完全ガイド2022─2023』(講談社ムック)などの著書がある。