「フラット35」は完全固定金利ではない?

 ただし、ひとくちに固定金利型といっても、厳密には完済までの金利が確定している「全期間固定金利型」と、固定期間が一定期間に限られる「固定金利期間選択型」がある。

 全期間固定金利型の代表格は、住宅金融支援機構が民間機関と提携して実施している「フラット35」で、借り入れ時に最長35年まで金利が確定する。借り入れ後に市中の金利が上がっても、その確定している金利が上がることはない。ちなみに2024年8月の金利は、返済期間20年までが1.46%で、21年~35年が1.85%となっている。

 とはいえ、フラット35には各種の金利引き下げ制度があり、当初の金利が最大1.0%引き下げられる。そのため同機構のホームページでは、「返済期間35年は、当初5年間が0.85%で、6年目以降が1.85%」と紹介されており、多くの人がその適用を受けている。

 6年目以降の金利もあらかじめ確定しているので、変動金利型ではないものの、厳密にいえば全期間固定金利型ではなく、段階金利型ということができる。それだけに6年目からの金利、返済額を確認した上で利用を考える必要があるわけだ。

 例えば、借入額5000万円を当初5年間0.85%の金利で利用すると、5年間の毎月返済額は13万7674円だが、6年目以降は金利が1.85%に上がり、返済額は15万8390円に増える。15.0%の増額なので、あらかじめ金利が確定している固定金利型といっても返済額の増額に十分注意しなければならない。

>>【表】タイプ別の住宅ローン金利と毎月返済額の例、ほか