当初からIOC委員には王族や貴族が多く、一種のサロン的な性格を帯びていた。

アマチュア至上主義からプロも参加の商業主義へ

 アマチュア至上主義だった第5代のブランデージ会長が現在のオリンピックを見たら腰を抜かすに違いない。バスケットではアメリカチームは全員がプロフェッショナルであり、今回競技は実施されていないが、野球でも日本を含めた多くのチームはプロの選手を起用しているのだから。

 札幌冬季五輪では以前から問題視されていた選手の「スキー板広告問題」が持ち上がっていた。スキーの選手は滑った後に素早く履いていたスキー板を脱いで観客前で掲げる。それをテレビが放送することになると広告効果が上がるという図式である。これを「走る広告塔だ」と批判したブランデージ会長は、スポンサー料を貰っていた選手を排除したのである。

 しかし、ブランデージのやり方は時代にそぐわないものになっていく。アマチュアリズムを徹底しようとすれば、経済的に余裕のない者は競技に打ち込むこともままならなくなる。また五輪の開催国に巨額の費用がかかるようになり、五輪に立候補したい都市が少なくなったことも五輪の商業化を促す要因となった。