東京五輪の開会式が行われた7月23日、東京上空に五輪カラーの雲を引きながら飛行する航空自衛隊のブルーインパルス(写真:アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 東京五輪が始まった。東京に緊急事態宣言が発出され、首都圏の新型コロナウイルス感染者がうなぎ上りとなる中での開催である。

 東京都の20日の感染者数は1832人、前週の水曜日より683人増、21日には1979人で前週の木曜日より671人増と、前週の1.5倍のペースで増えている。このスピードで感染が拡大すると、大会期間中に2000人を超えるのではないかと心配になる。緊急事態宣言の効果もなく、途中で中止にもなりかねない綱渡りの五輪である。

 しかも、連日の猛暑である。屋外での競技は、アスリートの健康にとってはマイナスで、五輪の意義も失われてしまう。

なぜ酷暑の時期に開催されるのか

 コロナ禍での五輪強行開催によって、これまでタブー視されてきたオリンピックの様々な問題点が浮き彫りになってきている。心ある者は、問題を認識していたが、それを公にするとIOCをはじめスポーツ関係者から非難されるので口をつぐんできたのである。しかし、非常識がまかり通る実態に、市井の人々から率直な疑問の声が高まっている。

 第一の問題は、なぜ酷暑の夏に五輪を開催するのかという点である。

 真夏に五輪を開催するのは、放映権料を支払うテレビ局の都合である。NBCは10回の放映で1兆3000億円を支払うことをIOCと契約しており、このカネが運営費の大部分を賄うために、局の意向に沿わざるを得ないのである。