「進学するかの決定根拠は経済的利益だけではない」

 以下、第2講の「授業後レポート」から一部を紹介する。

【授業後レポート】

男性:進学実績重視と思えてしまうような進路教育は、教育上好ましくないと考える。生徒が学校の進学実績のために使われていると感じているようでは、生徒と教師の信頼関係に影響が出る可能性がある。

女性:進路指導の時、学校の種類(大学か専門学校か)だけでなく、学生の興味も考慮するべきだ。自分自身と自分が望む人生を最もよく理解しているのは生徒である。

 さらに、進学するかどうかの決定の根拠は経済的利益にあるだけでなく、世界観を変えるなどの利益もあることを、生徒に伝えるべきだと思う。

女性:私的内部収益率について、高校の教員がその数字だけを鵜呑みにするのは非常に危険だと思った。正規雇用で60歳まで働き続けるというライフコースを仮定していることが、現代の日本とかけ離れていて、それがこのデータの一番の問題点だと思う。

 しかし、教員があくまでも一つのデータに過ぎないと理解したうえでその知識を持つのは、非常に有益だと考える。

 議論では進路指導の話もあった。先生が大学進学を勧める、そして大多数が大学進学する高校出身の人が、ほとんどだったと思う。私の高校も例外ではなく、国公立大学に進学することを強く勧めていた。

 私立大を第一志望にすることをよしとしない高校だったので、そうするのなら、なぜ国公立を勧めるのか、明確に説明するべきだったのではないかと思った。

女性:私的内部収益率を初めて知った。数字は衝撃的で、生徒には提示しないほうがいいとの意見もあったが、私は、生徒には見せておくべきだと思う。

 教師や生徒があいまいなイメージで話をするのと、数字を根拠に話をするのでは、話し合いの意味合いが大きく変わってくるからだ。

男性:今回は、自分の選んだ進路を含め、生徒の選びうる進路の形について、できるだけフラットな目で考えられた。私的内部収益率など様々な進路についてのデータは、その人がどういうライフコースを考えているかで、見方や捉え方が大きく変わってくると感じた。また、私的内部収益率が女性の方が高く、とても驚いた。