「60歳まで勤め続ける」仮定がフィットしないケース

岡邊:ところで、男性と女性で数値、違いますよね。ここについて何か話したグループ、ありますか?

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けんた:教科書本文に、私的内部収益率は、卒業してから直ちに正規雇用の仕事に就き、60歳まで中断することなく働き続けて賃金を得るっていうライフコースを仮定していると書いてあります。

 女性の場合、うちの班で出た意見ですと、そもそも非正規雇用に就く可能性も、男性よりは高いですし、出産、育児、介護を担わされるのも女性のことが多いから、人生のいろんなとこで、60歳になるまでの間に、仕事を辞めないといけない期間もあると思うので。

 この仮定がどれだけ実態に即してるかっていうのを、ちゃんと考える必要がある。

岡邊:この値は、いろんな仮定に基づいたものです。特に女性の場合は、仮定が現実にフィットしないケースが、結構多い。これは重要な留意点。

 で、そもそも、ちょっとお題を離れて、聞きたいんだけど……。

収益率「7%」は高い?低い?

岡邊:大卒で男性7%、女性11%って数値を、どういうふうに感じましたか?ぴんと来ない?銀行預金の金利って今、何%か知ってる?

けんた:0.00……

岡邊:そうだね。定期預金でも0コンマ数%です。超低金利。そうすると、7%とか11%とかは、むちゃくちゃ高い。現時点でいうと、大卒には非常にメリットがあるってことは、一応、言えるわけです。

 さらに高い国もありますが、多くの国で大学進学が決して悪くない選択だっていうことは、少なくとも経済的には言える。ただ、「こんなもんか」っていうふうにみた人も、いるんじゃない? 

けんた:あまり大きくはない感じも。

岡邊:そういう感想もありえます。ついでにいうと、細かい研究もあって、例えば大学ランク別に収益率を出している研究もあるんだけども、日本では、入学難易度の低い大学でも、平均すれば3~4%って数値は出ているので、悪くない選択肢であるというのが、現状です。

 今日の授業は、以上です。