子どものレジリエンスの鍵は「親がどれだけ選択肢を提供できるか」

データを基に現代の若者が抱える心の課題を考察。レジリエンスとの関係は?

 レジリエンスが強い人の特徴は、回復するための方法をいくつも考えられることです。なにか失敗や挫折をして落ち込んでしまっても、二者択一で解決策を探すのではなく、選択肢を2つ以上持つようにすることで、「これがダメならこれ」と、さまざまなパターンを思いつくことができる。

 しかし、この考える力は自分で身につけることはできません。親がいくつも選択肢を提供することで、子どもは少しずつ回復するための道筋を覚えていくのです。この時に、親が少ない選択肢だけを提示してしまうと、子どもはうまく立ち直ることができないことがあります。

 たとえば、子どもがなにか習い事をしていて、その習い事をやめたいと言い出した時、親は「子どもが嫌ならやめさせよう」か「子どもが嫌でも続けさせよう」の二択で考えてしまうケースが非常に多い。また、なかには「なにがなんでも続けさせる」というスタンスの親もいます。

 ここで重要なことは、子どもが考えていることをどこまで引き出せるか、そして引き出したことをもとに親がどう判断するかです。子どもがなぜやめたいと思っているのか、子どもが本当にしたいことはなにか、をじっくりと話し合ったうえで、どのような解決策があるかをお互いに出し合ってみる。

 逆に、落ち込んでいる子どもに対して、「選択肢はこれしかないよ」と言ってしまうと、その方法がうまくいかなかった時、子どもはもう立ち直れなくなってしまう。なので、「こういう方法もあるよ!」とか「こんな方法はどう?」と、選択肢をいくつも指し示すことで、子どもにより広い視野を持たせてあげしょう。

 もちろん、すぐにレジリエンスを身につけさせるのは難しいですが、親がしっかりとケアしながら選択肢を提供することで、着実に回復する力が養われてくるはずです。ぜひ親の課題として取り組んでみてください。