近年重要視される「レジリエンス」。子どもに身につけさせるには?

「我が子の将来はどうなってしまうんだろう」

良かれとやったことが、うまく伝わらない。特に「夏休み」のように子どもといる時間が増える期間に、そういった思いを抱く親は多い。

犯罪心理学者として多くの非行少年少女と向き合い、その経験をもとに子育てに関する発信も行う出口保行さんにそのヒントを聞いた。

(本稿はシンクロLive「犯罪心理学者に聞く「つい怒鳴ってしまう」子どもの将来への影響は?」(90分)の一部を記事化したものです)

(話し手・出口保行)

今の時代に求められるレジリエンスの強さをどう育むか

 ここ数年、「レジリエンス」という言葉をよく耳にするようになりました。

 レジリエンスとは“しなやかな回復力”とでも言いましょうか、失敗してもすぐに立ち直るのではなく、ふわっと戻ってくるような柔軟な回復力のことです。

 なにか困難なことに直面した時、落ち込んだ状態から瞬時に回復できるかよりも、結果的にちゃんともとの状態に戻ってこられるかどうか。それが子どもにレジリエンスを身につけさせるうえで、もっとも重要なポイントだと考えています。

 今の社会を生きていくには、このレジリエンスの強さが、大切なキーワードになってくる。しかし、最近の若い人を見ていると、心がすぐに折れてしまう人が多い。特に、大学の教員として学生を指導していると、レジリエンスの弱さを感じることがよくあります。

 以前、プロやオリンピックに出場経験のあるスポーツ選手たちを心理分析したことがありまして。みなさん競技や種目が異なるので、技術的な面ではそれぞれ違いがあったのですが、全員に共通している点、それはやはりレジリエンスの強さでした。

 どんなトップアスリートであっても、ずっと成績が1位の人なんていませんよね。いきなり10位に下がることもあるし、ランク圏外になってしまうこともある。でも、そこからどうやって復活するかを柔軟に考えられるからこそ、プロのアスリートたちはレジリエンスが強いんです。