各地で入社式が開かれた。写真はJAL(写真:つのだよしお/アフロ)

(立川 談慶:落語家、著述家、筋トレ愛好家)

 4月に入り、桜前線の北上とともに「出会いの季節」へと空気感がガラリと変わってまいりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?

 今年も全国各地で開催された初々しいスーツ姿の若者たちを迎える「入社式」の模様が、テレビやネットのニュースで数多く取り上げられました。新入社員の皆さん、おめでとうございます。

 このところ巷では、賃上げ、特に初任給の大幅アップの話題が注目を集めています。新入社員の多くが、その恩恵にあずかっていることと思います。

 例えば、「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングの初任給は33万円で、10%もの大幅アップだそうです。

 ユニクロだけではありません。例えば、東洋経済オンラインが大卒総合職の初任給ラインキングを掲載していますが、それによるとネット広告代理店大手のサイバーエージェントはなんと42万円! 電通、アクサ生命保険、リクルートなどが軒並み30万円超えというではありませんか。

 急速に進む人手不足に対応するため、企業は報酬などの待遇をよくしなければ、もはや人材を採用できません。いまや残業がたくさんある会社はブラック企業として敬遠され、「パワハラ」「セクハラ」と批判されることを恐れて上司は部下に過剰に神経を使うような、若手にやさしい時代となりました。

 売り手市場だから希望が通るのが当たり前。配属が期待どおりにならなければ、「配属ガチャに外れた」などと言い、すぐに転職活動を始める人もいるかもしれませんね。

 いやはや、前途洋洋、周囲からこれほど大切にされる世代も珍しいのではないでしょうか。まるで「怖いものなし」、うらやましい限りです。

 振り返れば、今を去ること37年前、私の就活はというと、散々でした。