災害関連死、夏季なら膨大な数字になるおそれ
前述の4人は、災害関連死と認定されている。風水害、地震、津波などの直接の被害からは生き延びたにもかかわらず、その後の避難生活などが原因で命を落とし、地元市町村で認定された死者だ。
震災では、これがもっと増える。
東日本大震災での災害関連死は3358人*5で、津波や地震の揺れで亡くなったり行方不明になったりした1万8423人*6の2割弱にもなる。
減らすには避難所をすごしやすくすることが不可欠となる。東日本大震災の避難所で不足や不具合が問題とされたのは、トイレ(74.7%)、暖房設備(70.3%)などだった*7。寒さは厚着をしたり、運べる石油ストーブなどを使ったりすることもできるが、暑さに対応するのは難しい。
東日本大震災では約47万人が避難した。南海トラフ地震では950万人、首都直下地震では約300万人と桁違いの避難者数が予想されている。首都直下地震で停電の復旧完了は約4日後。発電所や基幹送電網などの被災、発電用水の断水は想定に含まれていないので、もっと長引くかもしれない。
「停電等で空調が使えない場合、体調不良者が増加し、体力のない高齢者や乳幼児等は、最悪の場合、死亡する可能性がある」
避難所の様相について、東京都はこう予測している*8。
南海トラフ地震では最大2930万軒が停電し、復旧に約1〜2週間かかる*9。災害関連死は76000人にのぼるという試算*10があるが、3月に発生した東日本大震災にもとづく予測のため、夏の発生ならもっと増えるだろう。
*5 復興庁など 東日本大震災における震災関連死の死者数 2023年6月30日
*6 警察庁 平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の警察措置と被害状況
*7 文部科学省 東日本大震災における学校等の対応等に関する調査研究報告
*8 東京都防災会議「首都直下地震等による東京の被害想定報告書」2022年5月 p.3-55、p.5-62