東京都の江戸川区立小松川第二中学校は、耐震性の高い中圧ガス管を引き込み、それを使って動く自立発電型エアコンで、外部が停電している時でも、高齢者や体調不良者の居住スペースになる屋内運動場や教室の空調と照明ができるようにしている。
都市ガスを利用者まで届けるガス管は、高圧・中圧・低圧と順に枝分かれしていく。このうち、高圧・中圧のガス管は、大地震に耐えられる構造で、基本的に供給は途絶えないとされている。
2018年完成した同校以来、区内の小中学校の改築にあわせて少しずつ同様の中圧ガス管を使った設備を増やし、今では8校が停電時でもエアコンが使える。
100年前の猛暑日はひと夏につき1日のみ、今年は22日
今年の暑さは記録破りだ。東京都心の猛暑日は9月に入っても続き、計22日と年間記録を更新した。熱帯夜は57日にもなった。関東大震災が起きた100年前、猛暑日は1日、熱帯夜は7日しかなかった。
関東大震災のころ、65歳以上の人の割合は5.2%*3だったが、2023年は23.5%を占める*4。住んでいる人たちの体力も落ちている。
1960年代はゼロに等しかったエアコン普及率は、2022年には90%を超えている。特に都市部では、これでようやく生命をつないでいる感じがする。その結果、台風などで比較的短い時間の停電が起きた時でも、熱中症で犠牲者が出るようになった。
約52万戸が停電した2019年の台風15号では、被害の中心となった千葉県で停電による熱中症やその疑いで4人が亡くなった。台風が上陸した9月9日から翌10日にかけて、県内では35度を超える地点が何地点も観測されていた。
亡くなった人の内訳は以下の通りだが、高齢者が多い。
9月10日南房総市 90歳代女性
9月10日市原市 60歳代男性
9月12日市原市 70歳代女性
9月12日君津市 80歳代女性
*3 我が国の推計人口