(科学ジャーナリスト:添田 孝史)
日本原子力発電(日本原電)の敦賀原子力発電所(福井県)は、1970年に運転を始めた日本で2番目に古い原発だ。しかし、それは活断層でずれ動く地盤の真上に造られていた。
1980年代から活断層の存在が指摘されていたが、日本原電は報告書の書き換えなどで結論を引き延ばそうとし続けた。原子力規制委員会は8月2日に、ようやく運転を認めない方針を明確にした。規制当局が仕事をしたと評価できる一方で、もともと造ってはいけない場所だったのに、結論まで時間がかかりすぎたように見える。
直下の活断層で不合格宣告
規制委は8月2日に開いた会合で、敦賀2号機の直下に活断層があることは否定できないから、新規制基準に適合しない、再稼働は認めないという結論をまとめた。日本原電は追加調査をして審査の継続を求めていくと話しているが、規制委の判断を覆すのはとても難しそうだ。
敦賀原発はどう危ないのか。
敦賀原発1号機と2号機は、活断層である浦底断層(地図の太い赤線)*1から250mほどしか離れていない。原発の敷地には、浦底断層から枝分かれした断層(ひび割れ、破砕帯)が多数存在する。
浦底断層は地震を起こすと3m以上ずれ動く。その時、原発直下にあるひび割れも一緒にずれて、原発の建物や設備を壊す恐れがある。また、浦底断層が動くと、原発がどれだけ揺さぶられるかの予測もまだ不確実な部分がある。活断層直近の揺れは記録が少ないから、予測する理論が正しいのか、十分確かめられているとは言えないのだ。