2023年シーズンから千葉ロッテマリーンズの指揮を執る吉井理人監督(写真:共同通信社)2023年シーズンから千葉ロッテマリーンズの指揮を執る吉井理人監督(写真:共同通信社)
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 プロ野球パリーグで、千葉ロッテマリーンズの調子がいい。吉井理人監督が指揮を執って2年目。リーグ2位に食い込んだ昨年に続き、今季もシーズン終盤へと向かう中で上位を走る。現役時代はセパ両リーグとメジャーリーグで活躍し、指導者としては米ドジャースでの留学経験もある吉井氏。強いチーム、強い組織を作るために欠かせないという、吉井監督独自の理論とは?

(*)本稿は『機嫌のいいチームをつくる』(吉井理人著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・再編集したものです。

全体ミーティングという名の化学反応

 チームの土台を構築するうえで欠かせないトピックは、2023年シーズン開幕前に行った全体ミーティングである。マリーンズの課題を洗い出し、2023年シーズンをどのような意図で臨むかという方針を検討した。

 2023年1月10日、はじめての試みとなる全体ミーティングには、さまざまな部門のスタッフが集まった。

 出席者は監督、コーチ、メディカル部門のトップ、ストレングス部門のトップ、スコアラーのトップ、データアナリストのトップである。球団職員としてマネージャーも参加した。総勢およそ30人といったところだ。

 通常、こうしたミーティングは監督とコーチだけで行う。なぜなら、野球界には「野球をやったことがないのに意見を言うな」という無言の圧力があるからだ。しかし、監督とコーチだけで開くミーティングでは、新奇性の高い意見は出てこないと思っている。それを乗り越えたいという思いから、監督、コーチ以外のスタッフにも参加してもらった。

 加えて、チーム全員が参加している感覚を共有したかった。選手、監督、コーチだけでなく、チーム運営に関わるすべてのスタッフに参加してもらい、自分たちのチームであることを強く意識してほしかった。この共有がないと、チームは決して強くならない。