いよいよ3月29日に開幕する日本のプロ野球。パ・リーグでは昨年、レギュラーシーズン最終戦で2位上昇、クライマックスシリーズのファーストステージでソフトバンクを2勝1敗で下すなど大健闘した千葉ロッテマリーンズに期待がかかる。先発投手の柱は何と言ってもメジャー挑戦を表明している佐々木朗希だが、佐々木と言えば2022年に「2試合連続完全試合」という大記録がかかった目前の8回でマウンドを降り、賛否両論が沸き起こったことは記憶に新しい。一体なぜロッテの首脳陣は佐々木を降板させたのか──。当時監督だった井口資仁氏が、その真相を明かした。
(*)本稿は『井口ビジョン』(井口資仁著/KADOKAWA)の一部を抜粋・再編集したものです。
数々の記録が偉業に花を添えたオリックス戦の完全試合
優勝へ不退転の覚悟を持って迎えた2022年。前年にプロ初マウンドに上がった佐々木朗希をローテーションに加え、「頂点を、つかむ。」をスローガンに開幕しましたが、気合いが空回りしてしまったのか、どうにも勝ちきれない試合が続くことになりました。
2022年のロッテと言えば、避けて通れないのが佐々木朗希の完全試合達成でしょう。
4月10日、ZOZOマリンスタジアムで開催されたオリックス戦でした。シーズン3度目の先発マウンドに上がった朗希は新人捕手の松川とバッテリーを組み、初回からオリックス打線を寄せ付けない投球を披露しました。
終わってみれば、28年ぶり史上16人目となる完全試合を達成。13者連続三振の日本プロ野球新記録、1試合19奪三振の日本プロ野球タイ記録など、数々の記録が偉業に花を添えました。早いカウントでファウルを打たせ、持ち味の決め球で仕留める。朗希ならではのスタイルでした。
僕自身はホワイトソックス時代にエース左腕のマーク・バーリーがノーヒットノーランを達成した時、二塁を守っていましたが、途中から打球が飛んで来ないよう必死で祈ったことを覚えています。実際に完全試合を見たのは、この時が初めて。本当にいいものを見せてもらったと思います。
ノーヒットノーランは四球やエラーは許されますが、完全試合となるとそれも許されない。一つハードルが上がるわけですから、バッテリーを組んだ松川や守備陣もよく頑張ったと思います。