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 スタンドが騒然となった。4月27日に甲子園球場で行われた阪神タイガース対中日ドラゴンズ戦の試合前のことだった。両軍のスタメン発表の後に審判団の名前がアナウンスされ、同球場のウグイス嬢は「三塁・白井」とコール。その瞬間、スタメン発表の選手以上に大きなどよめきが沸き起こった。あの白井一行審判員がこの日の三塁塁審を務めたからである。

 野球ファンでなくてもその名を多くの人に知られ、今やすっかり有名人となってしまった。物議を醸したのは4月24日のオリックス・バファローズ対ロッテ・マリーンズ戦(京セラドーム)での出来事だった。

 この試合で球審を務めた白井審判員は2回のイニング中、ロッテの佐々木朗希投手がボール判定の際にとった態度がどうやら不服そうに見えたようで、マウンドの佐々木に対し明らかにブチ切れながら、鬼の形相で近くまで詰め寄っていった。間に入った松川虎生捕手になだめられ、白井審判員も引き返したが、この場面が日本中で大きな論争を引き起こしている。

白井審判員の行為を擁護する声はごくわずか

 騒動を巡っては他球団も含め球界関係者がさまざまな見解を口にしているだけでなく、異業種の有識者たち、さらには芸能界にまで飛び火。日本中の耳目を集める事態になってしまった。そればかりか、MLBが注目する「日本球界の宝」佐々木が球審から異例の「恫喝」を食らったことで海の向こう側の米メディアにも取り上げられ、海外の野球ファンまで知られる大騒動へと発展している。

 白井審判員の行為に理解を示したり擁護したりする意見も、球界OBや一部メジャーリーガーらからSNSや動画サイトなどを通じて発信されてはいるが、ごくわずかだ。ひいき目に見たとしても、こうした稀有な論調に賛同する人は極めて少ない。世の中の大半は佐々木に対して行った白井審判員の「恫喝」もとい「威圧」まがいの振る舞いを行き過ぎた対応ととらえ、厳しく非難している。