今春も聖地での熱闘を心待ちにしていた人は多いはずだ。第94回全国選抜高校野球大会が19日に甲子園球場で開幕を迎えた。32校の出場校が頂点を目指し、連日にわたって熱戦を繰り広げている。

 折しも世界はロシアのウクライナ侵攻や新型コロナウイルス感染症のパンデミックなど暗い話題ばかりで埋め尽くされている真っ最中。だからこそ球児たちがグラウンドで白球を追いながら、全力でプレーする姿を見続けていると何か心が洗われるような気持ちになる。

 そして25日からはプロ野球もセ・パ両リーグが同時に開幕する。確かに日本の野球そのものが、世界情勢を大きく揺るがす問題の根本的な解決につながることは残念ながらない。それでも本格的な球春到来によって少しでも世の中に明るさが取り戻されるきっかけにつながれば、きっと各プレーヤーたちも選手冥利に尽きるだろう。そういう流れになることを願わずにはいられない。

誰もが「プロ入り後の大活躍」を確信していた逸材

 そのプロ野球では今こそ一軍の最前線に出て活躍し、旋風を巻き起こして世の中を活気付けてくれることを期待されながら、「スター候補生」に甘んじが続けている者もいる。その筆頭は北海道日本ハムファイターズの清宮幸太郎内野手だろう。

 今春のセンバツで高校球界を沸かせている球児たち以上に、高校時代の清宮は日本ハムからドラフト1位指名される2017年までは早稲田実業の主砲として高校通算111本塁打の史上最多記録を叩き出すなど猛烈なインパクトを残していた。

2017年のセンバツに出場した早稲田実業時代の清宮幸太郎(写真:BFP/アフロ)