その機能を維持するのにいくらかかるか?

 たとえば、健康なときは読書や音楽鑑賞、映画鑑賞、旅行をあきらめたくないと考えていても、病気のときには自分で食べられるのが一番と考えるかもしれません。あるいは、健康なときもそうでないときも大事にしたい機能は変わらない、という人もいるかもしれません。

 これで自分が人生において何を大事にしたいか、何をあきらめてもいいと思っているかがわかります。優先順位が低い機能については、お金をかけなくても機能を維持していけるように日々メンテナンスに努めなければ、という意識が芽生えるでしょう。ぜひ時間をつくってワークに取り組んでみていただければと思います。

「マイQOL」の優先順位を把握できたでしょうか。

 次は、それぞれの機能を維持するために、お金がどれだけ必要かを考えてみましょう。

 たとえば、「できるだけ視力を維持して本が読めることが一番大事。他の機能はあきらめて構わない」という人は、「視力矯正手術」にお金をかけることを考えるかもしれません。

 自分の歯がダメになるのは我慢がならないけれども、すでに歯磨きを怠ってきて、将来は入れ歯になる可能性が極めて高いとします。「けれども入れ歯は嫌だ」と考えるなら、次なる選択肢は「インプラント」です。

 インプラントにいくらかかるのかをかかりつけの歯科医に相談するか、インターネット検索をするかして、世間の相場を調べてみましょう。

「音楽を長く楽しみたいから、聴こえを維持するのが最優先」と考える人は、爆音が鳴っているところに長時間いないようにする、大音量でイヤホンを使わないというような生活習慣を維持しながら、いつか高音質の補聴器を使うことを考えてお金を準備しておいたほうがいいでしょう。

「できるだけ長く自分の足で歩けることが最優先事項」という人は、年をとって膝の痛みで歩くのが難しくなってきたら再生医療を受けるという手があります。自身の細胞を増やして膝に注射することで歩けるようになる場合もあるのです。

 脊柱管狭窄症による腰痛に悩む人は、外科手術なしで安全に痛みを解消できる腰椎カテーテル治療を選択することもできます。

 このように、自分が選択したい高額医療なり最先端デバイスなりを調べて、お金がどれだけ必要かの目安を知ったうえで準備を始めた方がいい。