猛暑が続くなか、夏の高校野球大会が8月7日に開幕します。今年は甲子園球場の開場100周年という記念すべき年。全国高校野球選手権大会そのものは甲子園球場ができる前から始まっており、今年の大会は第106回となります。ところで、気になるのはこの猛暑です。年々暑さが厳しくなる夏の大会では、近年、暑さ対策が次々と導入されてきました。今年の注目は、気温の高い真っ昼間を避け、朝と夕方以降に分けて試合を行うという「2部制」の導入です。さらに主催者の日本高校野球連盟は、試合を7回で打ち切る「7イニング制」の検討も始めました。夏の高校野球は将来、どんな姿になっていくのでしょうか。やさしく解説します。
大会期間中、連日の猛暑
日本の夏は近年、異常な暑さが続いています。甲子園球場に近い神戸地方気象台のデータによると、昨年(2023年)8月6〜23日に開かれた第105回全国高校野球選手権大会では、18日間に及んだ大会期間中、最高気温が30度を下回った日は1日しかありませんでした。最高気温が30度超の「真夏日」は計17日。35度を超える「猛暑日」は計8日を数えました。
中日スポーツの2023年8月18日の報道によると、「怪物」と呼ばれた作新学院(栃木県)の江川卓投手や箕島高校(和歌山県)の春夏連覇などで沸いた1970年代の10年間、8月の神戸の平均気温は27.18度だったそうです。PL学園(大阪府)の桑田真澄選手・清原和博選手らが活躍した1980年代は、平均27.15度。大きな違いはありません。
ところが、それ以降は気温上昇が顕著になってきました。1990年代は27.85度、2000年代は28.52度、2010年代は28.94度。2020年代は、始まって3年ながら平均気温はすでに29.0度に到達。猛暑日に至っては「1970〜80年代の4〜5倍に達するペース」と記しています。
かつては延長18回引き分け再試合(1969年決勝、松山商業―三沢高校戦)、同じく15回引き分け再試合(2006年決勝、早稲田実業―駒大苫小牧高戦)といった名勝負が観客を沸かせましたが、すでに選手の健康管理面から9回で決着のつかなかった試合、10回以降をタイブレーク制で行うようになっており、かつてのような延長戦を見ることはできません。