降り注ぐ太陽光をエネルギーに=イメージ(写真:GagliardiPhotography/Shutterstock)

次世代太陽電池の本命とされる「ペロブスカイト太陽電池」が、大きな注目を集めています。フィルムのように薄く、軽く、折り曲げも自在。主原料となるヨウ素は日本の生産量が世界シェアの3割を占めており、日本での量産化も可能なのです。温暖化ガスを排出しないため、再生可能エネルギー(再エネ)の切り札とも言われています。実用化に向けて研究開発が進むペロブスカイト太陽電池は、どれほどのスグレモノなのでしょうか。やさしく解説します。

フロントラインプレス

シリコン系太陽電池の限界を打破

「より強靱(きょうじん)なエネルギー構造へと転換を進めるためにも再エネ技術の国産化を強力に進めていく必要がある」

 自民党内の「国産再エネに関する次世代型技術の社会実装加速化議員連盟」はことし5月、こうした文面で、ペロブスカイト太陽電池の国産化と普及に関して総合的な戦略を早急に策定するよう提言しました。

 次世代型太陽電池の技術開発は欧州や中国と激しい競争を続けています。そんななか、ペロブスカイト型太陽電池は国産化が可能なうえ、国際競争力も備えたものになると期待されています。2050年のカーボンニュートラル(脱炭素化)を国際公約とする日本政府にとっても、ペロブスカイト太陽電池は地球温暖化対策の切り札の1つになりつつあるのです。

 では、ペロブスカイト太陽電池は従来の太陽電池とどこが異なるのでしょうか。

図:経済産業省資源エネルギー庁、国立研究開発法人・科学振興機構の図表・写真を基にフロントラインプレス作成
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 一般に太陽電池と言われているものは、黒いパネル式のものです。住宅やビルの屋上、広い平地にずらりと並んでいる光景を目にした人は多いと思います。これらはシリコン系太陽電池と呼ばれるもので、発電層がシリコンでできています。太陽電池の国内シェアに占めるシリコン系の割合は95%に達しています。

 経済産業省資源エネルギー庁によると、シリコン系の太陽電池には、照射された太陽エネルギーを電気に換える「変換効率」が高いという長所があります。しかし、太陽電池自体が重いという難点があるうえ、屋外で耐久性を高めるためには重いガラスを用いる必要もあり、設置場所が「広い平地」「頑丈な建造物の屋上」などに限定されてしまいます。

 すでに、1平方km当たりの太陽光発電設備の容量は470kWに達し、2位のドイツを2倍以上も引き離して世界一。つまり、シリコン系太陽電池は、もはや設置場所を確保することも難しくなりつつあるのです。

 そこに登場してきたのが、ペロブスカイト太陽電池です。