パナソニック、東芝…国内企業が相次ぎ参入

 ペロブスカイト太陽電池で注目されるのは、「軽量」「薄いフィルム状」「折り曲げ可能」という性質を活かし、多様なシーンで太陽光発電が可能になることです。既存のシリコン系太陽電池では設置が難しい曲線の屋根、ビルなど建造物の壁面などに加え、IoTデバイスなど小型の機器に貼って使うケースも研究されています。

 実際、研究開発・実用化に向けては、国内企業が続々と名乗りを上げ、イベント的なものも含め各地で実証実験も始まりました。今年に入ってからのものに限定しても、それら企業動向の動向は数え切れないほど。その一例を示しましょう。

パナソニックホールディングスが2026年にペロブスカイト太陽電池事業に参集すると表明。従来計画を2年、前倒しする。ペロブスカイト太陽電池と自社建材を組み合わせた「発電するガラス」を製品化する。

東芝は特殊な技術を用いてフィルム表面にペロブスカイトを塗る「フィルム型ペロブスカイト太陽電池」を開発。エネルギー効率の高度化と生産の高速化を目指す。

コスモエネルギーホールディングスが「曲がる太陽電池」の実証実験を開始。自社の研究所施設の外壁などにフィルム・タイプのペロブスカイト太陽電池を貼り、発電効率などを調査する。将来は自社の給油所や製油所に展開する。

◎不動産開発・販売のHESTA大倉(東京)がペロブスカイトを使った曲がる太陽電池の販売を開始。駐車場の屋根や壁面での需要を見込む。

大成建設カネカ不二サッシは、建物の外壁や窓と太陽光発電を一体化させた製品を開発。既存の窓・サッシと置き換えていく工法も開発した。

ペロブスカイト太陽電池を開発するベンチャー企業「エネコートテクノロジーズ」(京都府)が第三者割当増資で55億円を調達。本格的な生産体制を整えると同時に、車に搭載する小型太陽電池も開発する。

YKK AP:東京・秋葉原駅前広場で、ペロブスカイト太陽電池を用いた建材一体型太陽光発電の実証実験を開始。既存ビルのミニチュアとして製作した実証実験ハウス「Akiba ZERO BOX(アキバ・ゼロ・ボックス)」を設置。

積水化学などの企業グループが福島県いわき市で、最新のデジタル技術や環境技術を用いた「スマートシティ」の開発へ。そのなかでペロブスカイト太陽電池の実証実験も行う。