(英フィナンシャル・タイムズ電子版 2024年7月25日付)
「Spurious Correlations(疑似相関)」と題された素晴らしいウエブサイトは、同時に起こっているからといって深読みしすぎてはいけないことを教えてくれる。
そう、確かに2000年から2009年にかけての米国民1人当たりのマーガリン消費量のグラフは、同じ時期のメーン州での離婚率のグラフと息をのんでしまうほどそっくりに見える。
しかし、一方が他方を引き起こしていると論じることは困難だ。
それでも、人間は何らかのパターンを読み取ろうとする愚かな生き物だから、意味のある相関関係を四六時中探し続ける。
こればかりは、もうどうしようもない。
筋の通った相関関係だと筆者がにらんでいるものの一つに、このところ急騰している日本円と同時期に急落しているハイテク株との興味深い関係がある。
これは銀行・証券関係者の間で話題になっている組み合わせだ。
人気の「円売り」「ハイテク株買い」に異変
両者をつなぐ糸は米国のインフレの鈍化だ。
1週間ほど前に発表されたインフレ率が驚くほど低かったことから、米国の利下げの環境は整ったとの見方が一気に強まった。
ニューヨーク連銀前総裁のビル・ダドレー氏による最新の分析を一つの合図として受け止めるのであれば、今年9月か早ければ7月末にも政策金利が引き下げられる可能性がある。
もちろん、そういう場面は以前にもあったが、今度こそ本物だと投資家たちは思っている。
日本円の急騰により、今日の為替市場における最も極端な不均衡が崩れた。
数十年ぶりの高金利になっている米ドルと、ほとんどの主要国がパンデミック後に解消したゼロ金利からまだ抜け出している最中の日本円との不均衡だ。
米ドルは今年7月11日以降、対円で5%超下落している。
簡単に利益を出せる取引機会を投機家に何年も提供していた、長期かつ力強い上昇傾向が途切れている格好だ。