(英フィナンシャル・タイムズ紙 2024年7月9日付)

極右勢力の躍進を抑えたとはいえ、フランスのマクロン大統領は難しい政策運営を余儀なくされる(7月7日撮影、写真:ロイター/アフロ)

 英国とフランスが政治的なシーソーの反対側に座っている。

 英国が圧倒的な過半数を押さえる実際的な中道派の政府を選出した3日後、フランスは対極に向かった。

 7日の国民議会(下院)選挙では、極右、極左双方が勢力を伸ばし、膠着状態の議会が誕生した。

 英国では、欧州連合(EU)離脱を決めた2016年の国民投票で始まった政治的カオスの時代がついに終わりを迎えたのかもしれない。

 だが、フランスでは恐らく、政治が不安定な長い時代が始まったばかりだ。

欧州を牽引してきた英仏コンビ

 極右の国民連合(RN)が決選投票で予想より苦戦したことへの安堵は、フランス政治の中道が縮小していること、それに伴いエマニュエル・マクロン大統領の権威が低下していることを覆い隠すことはできない。

 先週の選挙の夜のロンドンの静けさは、7日夜のパリの熱烈な雰囲気と好対照をなした。

 フランスと英国の政治サイクルがこれほど大きくズレているのは残念だ。本能的なライバル意識にもかかわらず、両国が協力し合うことが大いに理にかなう。

 両国は隣国であり、同程度の人口を抱える同じ民主主義国だ。

 それぞれが核兵器や国連安全保障理事会の常任理事国の座など、大国の地位のシンボルを多少維持しながら、その地位を裏付ける経済力をもう持たない。

 フランスも英国も、気候変動に対処する国際的な取り組みで主導的な役割を果たそうとした。

 両国ともウラジーミル・プーチンのロシアの脅威を非常に深刻に受け止めており、ウクライナの強力な支援国だ。

 この数十年間、フランスと英国は欧州の二大軍事大国でもあった。もっとも、いずれドイツの軍備拡大がこの状況を変えるかもしれない。