ブレグジットの禍根と仏大統領の権威低下

 だが、欧州の未来に大きな影響を与える英国の力は、ブレグジットによって削がれた。

 欧州連合(EU)から離脱することで、英国は欧州の最も重要な政治構造の外に置かれることになり、不信感のレガシーと制度機構の破壊を後に残したからだ。

 英国が不在のなか、マクロンは欧州の未来に対する野心的なビジョンを示す機会に飛びついた。

 だが、欧州の知的リーダーシップを握るフランス大統領の力は、国民からの政治的な負託とともに消え去ろうとしている。

 それにもかかわらず、英国、フランス、欧州全体が直面する国際的な課題は、向こう1年間で深刻さが増すばかりだ。

 ウクライナ戦争は現在、膠着状態に陥っており、ロシアによる戦況打開への不安感が高まっている。

 2度目のトランプ政権は北大西洋条約機構(NATO)と国際貿易体制に明らかなリスクをもたらす。それが今度は、欧州の未来の繁栄と安全保障を脅かすことになる。

 理屈の上では、こうした共通の脅威に対する明らかな対応は、フランスと英国が今よりはるかに緊密に協力すること、そしてより危険な世界に対する欧州の脆弱性を減らすために欧州の協力拡大を推進することだ。

 実際には、フランスと英国における最近の政治的な変化は、この種の協力をはるかに難しくする。

 フランスの外交政策が極端な政治思考の優先事項を反映し始めれば、英国で新たに誕生したスターマー政権の見解と明らかに衝突する。

 フランスの極右と極左はどちらも、マクロンやキア・スターマーよりもプーチンのロシアに親近感を抱いている。