(英フィナンシャル・タイムズ紙 2024年7月17日付)
「ドイツが不振に陥っている。同国は昨年、経済が縮小した唯一の主要7カ国(G7)加盟国で、今年も再びG7で最も成長率が鈍い経済国になる」
これは今年3月27日に公表された国際通貨基金(IMF)欧州局のメンバーによるブログ投稿の冒頭の言葉だ。
IMFによると、ドイツの1人当たり国内総生産(GDP)は2019年から2023年にかけて1%縮小した。
これは高所得国41カ国中34位にランキングされる悪い成績だ。G7では、ドイツより悪かったのはカナダだけだ。
0.2%縮小した英国と0.4%の小幅な拡大にとどまったフランスでさえ、ドイツよりましだった。6%伸びた米国の経済拡大は次元が違う。
一時的な病と考える理由はあるが・・・
もしドイツが最近、病人だったとすれば、これは一時的な病なのか、それとも慢性的な病なのか。主に前者だと主張する妥当な理由がある。
ブログが指摘しているように、ドイツの交易条件はロシアによるウクライナ侵攻後に著しく悪化した。天然ガスの価格が急騰したためだ。
だが、天然ガスが再び下落すると、交易条件は2018年の水準に戻った。
ガス高騰に付随したインフレ急伸は反転し、欧州中央銀行(ECB)の金融政策は緩和に向かい始めた。
最後に、世界の需要が製品からサービスへとシフトしたパンデミック後のリバランシングもドイツ経済にとって好ましくなかった。
だが、この流れもそのうち反転する。
IMFは、ドイツ産業の長期的な未来への懸念は誇張されていると指摘した。確かにエネルギー集約度の高い産業は規模が縮小したが、こうした産業がドイツ経済に占める割合は4%にすぎない。
対照的に、自動車生産は2023年に11%拡大し、電気自動車(EV)の輸出は60%増加した。
IMFはさらに「工業生産が減少するなかでさえ、製造業の付加価値は安定的に推移した」と付け加えた。
7月のコンセンサス予想によると、ドイツの成長率は2024年にわずか0.2%になる見通しだ。だが、来年には1.1%に達すると見られている。
ただし、もしこれが新たなノーマルになるとすれば、かなりお粗末なものだ。
大きな問題は、最近のショックではなく、こうした長期的なトレンドだ。ドイツ経済は5つの不利なトレンドに苦しめられている。