25日午前、日経平均株価は急落し一時3万8000円を割り込み、下げ幅は1100円を超えました。
米国の大統領選をめぐり、トランプ氏の暗殺未遂が起き、バイデン大統領が撤退を表明して民主党の候補にハリス副大統領が指名される見通しとなるなど、状況が目まぐるしく動いています。これを受けて日米金融市場では、トランプ氏の再選を前提に株式や通貨、債券などを取引する「トランプトレード」が目立っています。こうしたなか第一生命経済研究所の藤代宏一主席エコノミストは「移民政策の動向に注視すべき」と指摘します。日本では新NISAで資産運用を始めた投資初心者も少なくありません。トランプトレードで押さえるべきポイントを聞きました。
(河端 里咲:フリーランス記者)
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――米大統領選では暗殺未遂からの復活を受けてトランプ氏が優勢と見られていましたが、ここにきてハリス氏への支持も高まっているようです。状況は予断を許しませんが、トランプ氏が再選した場合、マーケットはどう動くのでしょうか。まず消費者も関心の高い為替への影響をどう見ていますか。
藤代宏一・第一生命経済研究所主席エコノミスト:トランプ再選で「円安になるのか、円高になるのか」を現時点で判断するのは難しく、まだ共通の見解はありません。7月中旬に報道された米メディアのインタビューでトランプ氏が「対ドルでの円安や人民元安が甚だしい」「(米国の輸出企業にとって)すさまじい負担」と発言しました。この報道によりトランプ氏はドル安志向だと受け止められ、為替市場では一時円高・ドル安に反応しました。
ただこの発言は政治的なパフォーマンスの色彩が濃いでしょう。実際、インフレの抑制が目下の課題の米国にとって、ドル安は輸入物価の上昇を招きインフレ抑制に逆風となります。
加えて、トランプ氏の関税政策などはドル高を招くとの見方もあります。過激な景気刺激策により米国のインフレが再び加速すれば、FRB(米連邦準備理事会)が利下げをストップさせたり再び利上げしたりすることも考えられます。そうすると日米の金利差が高止まりした状態が続き、円安・ドル高になることも考えられます。
――「円高になるのか、円安になるのか」を考える上でのポイントは何でしょうか。