移民政策が米経済に与えるインパクトに注視

藤代氏:私は「移民政策」の動向を注視する必要があると思っています。

 トランプ氏は移民抑制を政策に掲げていますが、米国経済は安い労働力である移民によってインフレを落ち着かせている側面があります。安価な労働供給が減少すれば賃金が上がりインフレを起こしてしまいます。そうすると金融政策の引き締めで米金利が上昇。結果、円安・ドル高が強まる可能性があります。

 移民は教育をある程度終えた若い労働力の投入で、米国経済にとって相当な追い風となっています。米国は人口が増加しており、自然体でも経済成長をしています。よく「米S&P500に投資して寝ていればOK」とも言われ、新NISAではS&Pのインデックス型投資信託が人気です。しかし、移民政策の動向次第では米国経済に深刻な影響を与え、そういった資産運用の手法は厳しくなるかもしれません。

「もしトラ」が「ほぼトラ」になったとも言われる(写真:共同通信社)

 他方、インフレの沈静化に貢献する可能性が高いのはエネルギー政策です。1カ月ほど前に米国に出張した際、とある共和党の方が「トランプになれば石油をものすごく掘る。インフレ対策は全部石油で賄う」と話していました。トランプ氏のアドバイザーらは本気で原油価格の減少をやってのけようとしているようです。

――トランプ再選による株式市場への影響をどう見ていますか。

藤代氏:株に関しては全体的にプラスに働く可能性が高いのかなと見ています。実際トランプ氏の再選確率が高まるにつれて、さまざまな株価が上がっています。さらにトランプ氏は法人税の減税を掲げていますが、法人税を下げるということは投資家の取り分である一株あたり利益の拡大に直結するため、素直な株高要因になります。

 トランプ前政権時の2017年ごろ、ダウ平均株価は一本調子で上昇していきました。当時、世界的に製造業のサイクルが動き始めた追い風もありました。今回も地合いが良く、製造業や半導体に引っ張られる形で、株式市場は上向きのサイクルに入ってきていると感じます。

――セクターごとではどうでしょうか。