日本では自動車関連株に恩恵

藤代氏:今まさに、景気の変動に合わせて投資する業種を変えていく投資戦略である「セクター・ローテーション」が起きています。AI(人工知能)やテック株が売られ、オールドエコノミー株が買い戻されている現象で、まさに典型的なトランプトレードの1つです。

 よくトランプ=石油株と思われますが、前回のトランプ政権の際も石油の採掘量が増えたことで国際的に原油需給が緩み価格が下落し、石油メジャー(エクソン・モービルやシェブロンなど)の株価は下落しました。今回も石油を販売する企業より、石油のパイプラインの製造、素材を提供する関連銘柄がよりトランプ政権の追い風を受けるのではないかと見ています。

 日本においては、特に自動車関連が恩恵を受けるでしょう。トランプ政権となれば、EV(電気自動車)からガソリン車へ回帰する動きが強まります。ここ数年の米国では、お金持ちが購入するEVへの補助金に対して国民からの不満は大きくなっていました。

 EVで遅れをとっていた日本勢にとって、ガソリン車回帰は追い風になります。トランプ政権の関税政策により、中国などから米国に輸入しづらいと思われますが、多くの日本メーカーが現地生産へ切り替えが進んでいることも安心材料です。

 米国の年間新車販売台数は1600万台前後。新型コロナ禍前は1700万台を超えています。過去数年販売が下押しされており、購買行動を一時的に控えていた消費者需要が、景気回復期に一気に回復する「ペントアップデマンド」が期待できるのではないかと見ています。

――他方、逆風となるセクターは?