太陽光パネルの間に成長に適した矮化経済林を植えている。流砂を固め、砂嵐を防ぎ、砂漠化対策を施している。緑化植物のほかに、ナツメや漢方薬でも使われるキバナオウギなどの作物が栽培され、現地住民の収入を増やすことにも繫がっている。

 19万6000枚の太陽光発電パネルが疾走する馬の姿を描き、世界最大の太陽光パネルの地上絵として、ギネスに認定された。観光客の人気スポットとして観光資源にもなっている。

中国電力大手の国家電力投資集団が建設した太陽光発電所「駿馬」(資料写真:新華社)中国電力大手の国家電力投資集団が建設した太陽光発電所「駿馬」(資料写真:新華社)

 2023年2月末までに、このプロジェクトは累計で26億5800万キロワットのグリーン電力を産出した。これは、二酸化炭素排出量185万トンの削減に相当し、石炭83万トンを節約したことになる。この計画によって、累計で1万6000ムー(1ムーは約6.67アール)の砂漠を改良した*2

*2 人民政協報「太陽光発電による砂漠改良:「黄色い砂」を「青い海」に」(2023年3月20日)

 中国の太陽光発電産業の発展は、決して順風満帆ではなかった。20年前には、原材料、技術、市場ともに海外市場に大きく依存していた。

 15年前には金融危機の影響によるシリコン価格の急落を受け、多くの太陽光発電企業が倒産した。さらに、10年前には米国とEUがダンピング調査を行い、中国製品に高率の関税を課して輸入制限を実施した。

 こうした困難を乗り越えて太陽光発電産業は生き残り、世界をリードするまでに成長した。2013年以来、太陽光発電の設備容量の伸びは10年連続で世界トップを維持し、累積設備容量は8年連続で世界第1位だ。

なぜ太陽光発電産業が成功したのか

 太陽光発電産業の成功要因は、いくつかある。

 一つ目は、中国国内で膨大な需要(市場)があることだ。2011年、米国とEUのダンピング規制によって苦境に立った業界を支えるため、国家発展改革委員会は太陽光による電力を買い取る固定価格買取制度(FIT)を導入した。

 発電所が次々に建設され、国内市場が拡大した。これにより、多くの事業者が製品の販売先を確保でき、継続的なイノベーションが可能になった。