もう一つは、デジタル技術による効率的な運営だ。太陽光発電所が完成した後は、円滑で安全な運転を確保することが最優先課題となる。従来の保守方式では、作業員が設備を持って広大な敷地に点在する発電設備を点検していたため、数百メガワットの発電所を点検するのに1カ月以上かかった。荒野や砂漠地帯など厳しい地形と気候環境にも影響され、点検作業は骨が折れる仕事だった。

 ところが、最新鋭のダラト太陽光発電所はわずか数十分で点検を終えることができ、しかも作業員がオフィスから外に出る必要もない。それは、ファーウェイのスマート太陽光発電管理システムを導入したからだ。

 このシステムは、CTスキャンのように発電所の「健康」状態を素早く把握することができる。オンラインで全ストリング*3を0.5%のデータ精度で検出し、ストリング・レベルの故障を正確に特定し、電力損失の評価と修理箇所を示す診断レポートを自動的に出力し、運営効率の向上と発電量の最適化を支援する。14種類の主要なストリング故障を特定することができ、主要な故障の80%以上をカバーしている。

*3 セルを組み合わせたモジュール(太陽光パネル)を、配線で「直列」に組み合わせた単位をストリングと呼ぶ。

 このように、膨大な市場と先進的なデジタル技術の支えもあり、中国市場の熾烈な競争を勝ち抜いた企業の競争力は圧倒的なものとなった。エネルギー調査会社ウッド・マッキンゼーが2023年11月7日に発表したレポートによると、2026年にかけて太陽光発電設備の世界シェアで中国が8割を超える見通しだ*4。中南米、中東・北アフリカのグローバルサウスのほか、オーストラリア、トルコなどでも中国企業による太陽光発電事業が拡大している。

*4 ロイター通信「太陽光発電供給網、中国が26年まで世界シェア8割超独占=調査会社」(2023年11月8日)