「石丸節」が無党派・若者層に人気

 ぶれることがないエッジの効いた「石丸節」が無党派、若者層で人気を獲得する一方、こうした声が読者層に少ない新聞社には届きにくかったのではないだろうか。実際、投開票日の直前の報道でも、石丸氏の紙面での扱いは3、4番手だった新聞が多く、出口調査は既存メディアにこそ、想定外の結果だったともいえる。

 インターネットを使った選挙運動が解禁されたのは2013年4月だが、今回の都知事選はネットの影響力をおおいに示した結果となった。メディアは、事前報道の構図とは違う結果に対し、「既存政党への嫌悪感を持つ無党派層の受け皿になった」などの分析でお茶を濁した。だが、石丸氏に投票した有権者の支持理由をどこまで把握できているか、いまでも確証を持てないメディアも少なくないのではないだろうか。

 今後、石丸氏のようにネットを駆使した選挙戦が活発になっていくことは避けられないだろう。無党派や若者がネットの情報を基に投票するケースは増えていくはずだ。その場合、政党や各種団体など、各候補者の支持基盤となっている組織への取材活動を軸にする既存メディアでは、今回のように情勢の判断を見誤る可能性も否定できない。

 事前の情勢判断を誤り、候補者の扱いを誤るような報道が続けば、有権者、特に若者の間のメディア不信は高まり、読者・視聴者離れが加速しかねない。今回の都知事選は既存メディアにとって、選挙報道・取材の抜本的見直しの必要性を突きつけられた選挙だったともいえる。